変態図鑑

実在しない生物を描いています。

う-ウ

 

変態図鑑 う-ウ うしり

【うしり】

見ての通り、あらゆる箇所にプリプリした尻のような膨らみがついている。その膨らみは何なのか、わかっていないし、解剖すらされていない。それはなぜか…。世の中が不安定になると、牛から生まれる「件」という妖怪がいる。人間の顔と牛の体という姿をしており、戦争・天災・豊凶・疫病など、人間の言葉で予言し、言い終えるとすぐに死んでしまう予言獣である。「うしり」もその予言獣である。が、人間の言葉で予言するわけではない。生まれて、ただその場に存在するだけで、国に幸福をもたらす、ありがたい予言獣である。その「うしり」を解剖し、構造を調べると、大恐慌が訪れる可能性があると予想されている。だから誰も解剖しないのだ。「件」よりも生まれてくる確率が少なく、江戸時代に生まれたと文献に残っている。最近では、1986年(昭和61年)に生まれ、1991年(平成3年)まで生きていたという報告がされている。この生きていた期間は、ちょうどバブル景気に当てはまる。それ以降、まだ、生まれていない。「うしり」の尻には、幸福がつまっているのかもしれない。